柔道整復師向け

整骨院開業者必見!届出・許可手続きの詳細とポイントを徹底解説

みなさんこんにちは。

長野県長野市のみやざわ整骨院の院長、宮澤です。

今回はこれから整骨院を開業する予定がある人向けの記事となります。

整骨院を開業する上でやらなければいけないことはたくさんありますが、中でも開院する上での手続きや届け出に関してはしっかりと理解して余裕のあるスケージュールで実行していくことが必要です。

そうしないと

  • 保険請求ができない
  • 開業が許可されない

なんてことになるかもしれません。

この記事では整骨院を開業する上で必要な手続きや保険請求する上で必要な届け出について解説していきます。

これから整骨院を開業する予定の人はぜひ、参考にして下さい。

整骨院を開業するまでの全体像

まずは整骨院を開業するまでに必要な届け出や手続きの全体像について解説します

大きな流れとしては

  1. 管轄の保険所に整骨院の開設届けを出す
  2. 管轄の厚生局に受領委任の届け出を出す
  3. 共済番号、防衛省、労災、生活保護の患者を施術するための届出

この流れになります。

特に1と2についてはスケジュール関係でのトラブル、3については届け出を忘れている場合がよくあります。

私は開業したてのときに労災と生活保護の届け出を出し忘れて開業後に労災や生活保護の患者様が来て請求できなかったという失敗があります。

開業後ですと忙しく、なかなか時間が取れないことが多いので本格的に開業する前に届け出関係はまとめて済ませておくと良いでしょう。

 

保健所への開設届けの提出

保健所へ開設届けを提出する際に大切なポイントが

  • 内装工事をする場合、図面が出来上がった段階で一度、保健所に相談に行く
  • 工事が完了したらなるべく早く保健所に届け出を出す

の2つです。

保健所では開設届けが提出された後に構造基準に適合しているかどうか実際に保健所の職員が見に来ます。

そこで問題があると工事のやり直しなどをさせられる場合もあります。

整骨院の構造設備基準は簡単に書くと

  1. 6.6立方メートル(2坪)以上の専用の施術室を有すること
  2. 3.3立方メートル(1坪)以上の待合室を有すること
  3. 施術室は、室面積の1/7以上に相当する部分を外気に開放し得ること、もしくはこれに代わる換気装置
  4. 手指消毒設備を設けること
  5. 住居・店舗等と構造上独立していること
  6. 施術室と待合室の区画は、壁で完全に仕切られていること
  7. ベッドを2 台以上設置する場合には、各々をカーテン等で仕切り患者のプライバシーに 配慮すること
  8. 接骨院とマッサージ院・鍼灸院を併設する場合、それぞれの施術室は壁で仕切らていること
  9. 消火器等の防火に対する措置が執られていること

特に問題になりやすいのが3と6だと思います。

3については当院はかなり大きい窓がありますが、計算上だと窓だけでは1/7以上に相当する部分を外気に開放し得ること。という条件はクリアできませんでした。

施術室に換気扇がついていたので特段、問題にはなりませんでしたが換気扇がついていない施術室の場合だと新たに換気扇をつける必要があるかもしれません。

あと換気機能のついたエアコンでも換気扇として認められるみたいなのでその辺についても保健所の担当者に聞いておくとスムーズかもしれません。

6についてはなるべく内装費用を抑えたい関係で色々と保健所の担当者と相談をしました。

そもそもこの基準がある理由としては施術室に間違えて患者が入らないようにする必要があるためだそうです。

そのためカーテンのように「うっかり人が入れる」ような仕切りでは駄目ということみたいです。

ただ人が出入りできないようになっていればいいということだったので整骨院によっては本棚や棚で壁としているところもあると聞きました。

あとは構造設備基準ではなく広告規制として看板などもけっこう見られました。

整骨院の看板というのは柔道整復師法の第24条第1項による広告の規制が適用されます。

整骨院が広告をしてよいのは

  • ほねつぎ(又は接骨)
  • 施術所の名称・電話番号・所在の場所を表示する事項
  • 柔道整復師である旨・氏名・住所
  • 施術日・施術時間
  • 休日・夜間における施術の実施
  • 予約に基づく施術の実施
  • 出張による施術の実施
  • 駐車設備に関する事項

この項目以外には広告を出してはいけないことになっています。

「各種保険取り扱い」「交通事故指定」「骨折脱臼捻挫打撲挫傷」

みたいな文言が看板等に入っていると保健所の許可が降りない場合があるのでこの辺も注意した方がよいポイントでしょう。

あと厳密に言うと「診療時間」や「休診日」といった表現もNGとなります。

「診」という字がつく行為は医師にしかできないからです。

整骨院の場合ですと「受付時間」や「休日」といった表現にしておくと良いでしょう。

もう一点の注意点として保健所への開業届けはなるべく早く提出しましょう。

保険所への提出が済んでいないと次に説明する厚生局への受領委任の届け出や共済番号の取得なども遅れてしまうためです。

当院は8月1日にプレオープン、8月8日に正式オープンというスケジュールで開院しましたが開業届けは7月26日くらいには出していました。

工事が終わって構造設備基準や広告規制などに問題がなければすぐにでも提出して問題ないでしょう。

大まかな流れや持物については各保健所のホームページで確認しておくと良いと思います。

>>施術所(あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう、柔道整復)の開設等

一応、東京都南多摩保健所のホームページを貼っておくので参考にして下さい。

 

厚生局に受領委任の届け出を提出

さて、保健所に開設届けを提出した後は厚生局に受領委任の届出を出します。

受領委任ってなんぞや?って人のために簡単に説明すると保険を使って施術した人のお会計を3割負担の人なら3割だけ患者様から頂いて残りの7割を加入している健康保険組合などに請求する制度です。

病院だと当たり前にやってるあの制度です。

整骨院の場合だと届出を出していないと償還払いと言って患者様が整骨院に全額を支払ってから残りの7割を直接、健康保険組合などに請求しなければなりません。

届出自体は厚生局に行って必要な書類を提出するだけですがトラブルになりやすいのが

  • 施術管理者研修を受けていない場合
  • 受領委任の届出を出す前に患者様を施術している

というケースです。

平成30年4月から新しく施術所の管理者になる場合は施術管理者研修を受講することが必要となりました。

整骨院で受領委任する場合は必ず施術管理者が必要です。

施術管理者研修が実施されたばかりの頃は希望者が殺到したこととオンラインでの研修がなかったことで受講したくてもできないような状況でしたが最近はそんなこともなく受講できるようです。

この記事をお読みの方は既に受講している方がほとんどだと思いますが未受講の方は開業前に受講しておきましょう。

>>施術管理者研修のご案内

一応、施術管理者研修のページを貼っておきます。

受領委任の届出を提出する前に既に施術している

というケースもたまに聞きます。

受領委任で請求することができるのは厚生局に届出を出した日からになります。

私は保健所に開設届を提出した後にそのまま厚生局に行って受領委任の届出も出しました。

ちなみに必要な書類については

>>柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任に関する申し出

こちらから確認できます。

関東信越厚生局のホームページなのでお住まいの地域に合わせて見ておくと良いと思います。

 

共済番号、防衛省、労災、生活保護の患者を施術するための届出

受領委任については厚生局への届出を済ませれば良いですが公務員や自衛隊、労災、生活保護の方などを保険請求する際にはそれぞれに届出を出す必要があります。

ちなみにこの後に説明する

  • 共済連盟番号
  • 地方共済協議会承諾番号
  • 防衛省番号

については一度、取得していれば他の場所で新規で開設したとしても再取得する必要はありません。

例えば雇われ院長から自分で開業といった場合などで既に番号を取得していれば新しく届出を行う必要はありません。

私は取得したことを忘れて申請しようとしていましたが電話して聞いたら番号を教えてくれました。

 

共済連盟承諾番号の申し出

国家公務員関連の保険者に届出を行う場合、「共済連盟承諾番号」を取得する必要があります。

  1. 申し出先: 共済組合連盟
  2. 取得する番号: 共済連盟承諾番号
  3. 申請手続き: 共済組合連盟の指定の連絡先に連絡を行い、必要な書類を取得します。
  4. 必要書類:
    • 申出書
    • 確約書
    • 柔道整復師免許証の正本のコピー
  5. 提出方法: 指定の書式に従って必要事項を記入し、共済組合連盟へ提出します。

連絡先: (社)共済組合連盟 住所:〒102-0071 東京都千代田区富士見1-7-5 共済ビル 03-3261-0073

 

地方共済協議会承諾番号の申し出

地方公務員関連の患者様を請求するには、地方公務員共済組合協議会に届出を出して「地方共済協議会承諾番号」を取得する必要があります。

また都道府県によっては厚生局に届出をした受領委任の登録記号番号があれば地方共済協議会承諾番号を取得しなくても良いところもあるようです。

詳しい内容については公式ホームページをご覧下さい。

>>柔道整復療養費受領委任取扱いの申出について

  1. 申し出先: 地方公務員共済組合協議会
  2. 取得する番号: 地方共済協議会承諾番号
  3. 申請手続き: 地方公務員共済組合協議会の指定の連絡先に連絡を行い、必要な書類を取得します。
  4. 必要書類:
    • 受領委任の取扱いに係る申出書(様式第1号)
    • 尊守事項確約書(様式第2号)
    • ご連絡(申請理由の申し出)
    • 柔道整復師免許証の正本のコピー
  5. 提出方法: 公式サイトから所定の書式をダウンロードし、記入後に郵送で提出します。

連絡先: (社)地方公務員共済組合協議会 住所:〒107-0052 東京都港区赤坂8-5-26 赤坂DSビル5F

>>書式がダウンロードできるページはこちら

 

防衛省番号の取得

自衛官関係の保険者に請求を行う際、防衛省への申し出が必要となります。この際に取得するのが「防衛省番号」です。以下、防衛省番号の取得に関する手続きを解説します。

  1. 申し出先: 防衛省
  2. 取得する番号: 防衛省番号
  3. 申請手続き: 防衛省の指定の連絡先に連絡を行い、必要な書類を取得します。
  4. 必要書類:
    • 申出書
    • 確約書
    • 柔道整復師免許証の正本のコピー
  5. 提出方法: 指定の書式に従って必要事項を記入し、防衛省へ提出します。

特に、防衛省の公式サイトには、所定の書式をダウンロードすることができ、記入後に郵送で提出することが可能です。

連絡先: (社)防衛省 住所:〒107-0052 東京都港区赤坂8-5-26 赤坂DSビル5F

>>公式サイトでの所定書式のダウンロードはこちら

 

労災保険指名柔道整復師の取得について

整骨院で労災での施術をするためには管轄する労働基準監督署への届出が必要となります。

  1. 申し出先: 労働基準監督署
  2. 取得する番号: 労災保険指名柔道整復師番号
  3. 申請手続き: 所轄する労働基準局への申請が必要です。申請書類を整骨院のある地域を管轄する労働局の労働基準監督署に提出します。
  4. 必要書類:
    • 申出書(様式第1号)
    • 確約書
    • 柔道整復師免許証の正本のコピー
  5. 提出方法: 指定の書式に従って必要事項を記入し、所轄する労働基準局へ提出します。

 

生活保護受給者に施術を行うための手続き

生活保護受給者の方に施術を行う場合は施術者側と患者様側で手続きが必要があります。

  1. 施術者の手続き
    施術者は「指定施術機関」として生活保護法による指定を受ける必要があります。指定を受けるためには、指定を行う自治体へ申請書とその他必要書類を提出する必要があります。具体的な必要書類は自治体によって異なるため、事前に所轄の自治体へ確認することが推奨されます。
  2. 患者さんの手続き:
    患者さんは、担当のケースワーカーに接骨院での施術を希望する旨を申し出る必要があります。ケースワーカーから施術の承認を得ると、施術券が発行されます。この施術券を持って初めて、生活保護受給者として施術を受けることが可能となります。

 

まとめ

最後に簡単にまとめます。

整骨院で開業する際の届出や手続きの流れは

  1. 保健所への開設届
  2. 管轄の厚生局への受領委任の届出
  3. 共済番号、防衛省、労災、生活保護の届出

の順番に行うとスムーズな保険請求が可能となります。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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